乗車体験記」
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「ＪＲ東海名金線 特急白川郷 乗車体験記」 |
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このページは、飛騨地区を走るＪＲ東海バス「名金線」が廃止されるのを記念して、「特別編」として期間限定で公開していたものでした。今回の再公開に合わせて、一部加筆してあります。加筆関連箇所は、下線を引いていますので参考にしてください。
名金線廃止後もＪＲ東海バスでは、平成１４年１１月中旬まで、土・日曜を中心に名古屋から白川郷へ向かう「観光バス」を運行していました。一般路線バスとしては存続は難しかったのでしょうが・・・。
また、このページと合わせて、東海３県の路線バス情報のページ（管理人：加藤＠名古屋大学 様）の「バスリサーチ 第７回 「さくら道」に見る過疎路線の今後 JR名金線代替バス乗り継ぎ旅」をご覧いただくと、ＪＲ東海バス名金線廃止後の状況がご覧いただけます。
(03/01/18：記述)
平成１５年１１月１日より、岐阜バスコミュニティと岐阜乗合自動車（岐阜バス）により、東海北陸道経由で「名古屋・白川郷線」と「岐阜・白川郷線」の運行が開始されました。白川村側は「鳩谷」まで乗り入れます。それぞれ１日１往復、名古屋発は毎日、岐阜発は土休日運転で、冬季は運休します。
岐阜側の「名金線」復活でもあります。JRでもなく、名鉄でもなく、濃飛でもない、岐阜バスが運行会社というところがちょっと興味をそそります。
(03/11/12：記述）
○興味をひく運用 ○時刻表 ○説明 ○濃飛バスIndex ○総Indexへ戻る
「名金線」は、愛知県の名古屋駅と石川県の金沢駅を結ぶJR（旧国鉄）一般路線バスの路線名です。JR東海バスが運行する区間（名古屋−美濃白鳥−牧戸−鳩ヶ谷）は、今年（平成１４年）９月３０日で廃止されることが決定しました。そこで先日、廃止区間全部を走る同線の特急「白川郷」に乗車してきました。乗車したので、体験記をまとめてみました。
○名駅出発 ○高速へ ○Ｒ１５６北上 ○最終区間 ○さて・・・ ○上へ
朝の名古屋駅バスターミナル１階は、各地への高速バスが結構まとまって発車しています。その５番線から、目的の特急「白川郷」は発車します。今日の車両は、744-3951(名古屋200か427)で、高速路線用大型（トイレなし）車でした。普段は「飛騨高山号（メイヒライナー）」の増便用に使われているようですが、さすがに廃止が近いので、大型車でないと乗客がさばけないのかなぁ、と思っていました。が、改札に出ている運転手さんに聞くと、美濃白鳥駅前で車両交換するとのこと。後ほど、その理由はわかります。
さて、定員45人（補助席除く）のバスは私を含め５名の乗客を乗せ定刻に出発しました。名鉄栄生駅前を抜け、やがてバスは国道２２号線に入ります。東名阪道をくぐった辺りから断続的に渋滞が続き、名神一宮インターを過ぎます。同じ東海北陸道を通る「メイヒライナー」は、都市高小牧開通前には一宮インターから高速に入っていましたが、名金線はそのまま国道を進み、東海北陸道の一宮木曽川インターから高速に入ります。末期の名鉄「五箇山号」も一部高速経由だったようですが、どこから高速に入っていたのでしょうね。
高速に入る段階で１０分の遅れ、そのまま長良川SAで休憩します。遅れた関係からか、同じJR東海バスの「ひだ高山３号（注：濃飛では「メイヒライナー」と呼んでいる）」も休憩に入ってきました。そちらも同路線には珍しく、747-0951（日野セレガのLED表示車）で、乗客はまずまずの入り。名金線廃止もうなずける感じです。休憩後、高山行きが先になり、八幡インターまで続行で走行します。あちらは八幡は通過（注：皮肉にも、名金線廃止翌日から、同路線は全便郡上八幡インターに停車しています。）、こちらは、インターから一般道に出て、郡上八幡駅前まで市内を走ります。ここでの乗降客もなく、バスはもう一度八幡インターから高速に乗ります（特急「白川郷」は、郡上八幡通過型路線でありながら唯一郡上八幡駅前に乗り入れるバスでした）。
高速道路内の停留所には停車設定はなく、郡上白鳥インターで高速を降り、美濃白鳥駅前までの狭い道を、大きな体で苦労して、バスは進んでいきました。白鳥の市街地に入るところで、岐阜バスの車両とすれ違いましたが、運転手さん同士、手をあげあいさつを交わしていました。美濃白鳥駅前では、交換車両の324-3903(岐阜200か265)がすでにお客さんを乗せて停まっていました。その横に据え付け停車しました。
現在では、名金線の美濃白鳥駅以南は全便東海北陸道経由で、国道１５６号は走りません。以前は、一般国道を走行していましたが、今は岐阜バスの八幡線がほぼこのルートを走っています（名金線を引き継いだ岐阜バスの八幡荘川線は、郡上八幡駅前から桜の郷荘川までの全区間を一般道走行です）。
バスも乗務員さんもここで交代し、美濃白鳥駅前からは、前述の中型一般路線バスで国道１５６号を北上します。車内は、名古屋からの５名のほか、（ご高齢の）地元の方たちも乗っており、総勢２０名くらいになりました。にぎやかいなぁ、と思っていると、一人降り、二人降り、山間部に入る正ヶ洞あたりでは、結局名古屋から来た５人になってしまいました。白鳥から正ヶ洞までは、国道の現道ばかりでなく狭い旧道も走るので、さっきまでの大型車ではかなり運行がきつそうです（後述しますが、このあたりが車両交換の理由です）。ここから蛭ヶ野高原まではつづら折りの道をバスは進んでいきます。降りる客がなくなってからも、後続の自動車に道を譲るように時折バスは路肩に寄りながら、坂道を上っていきます。分水嶺のある蛭ヶ野高原で名古屋からの一人が降りると、
４人を乗せたバスは緩やかな坂道を下りながら、飛騨の国荘川村に入っていきます。
荘川村の国道１５６号と１５８号の辻には、ＪＲ東海バス牧戸駅があります。鉄筋コンクリート造りと思われるその建物には、バス乗降場のほかに、出札窓口、売店、トイレがあり、建物の裏手には車両の駐車スペースもあります。駅出札窓口には、牧戸−岐阜駅間の高速バスの告知がありましたが、今となってはさみしいものです（この段階では、何らかの形で残るだろうと考えていた岐阜・名古屋方面への直通便は、結局なくなった）。ここでトイレ休憩（と運転手さんの休憩？）をとった後、いよいよ最終区間に進みます。
牧戸−荻町間は、国道１５６号線でも改良が進んでいない区間で、道幅も狭く、橋梁上や隧道内では大型車のすれ違いも困難なところが多くあります（それでもずいぶん改良されていましたが）。その割には、観光バスや大型トラックなどともよくすれ違います。岩瀬橋を渡り、濃飛の「ノースライナー」とすれ違いました。飛騨中野の荘川桜にはずいぶん人がいましたが、こちらは相も変わらず乗降客はなく、そのまま白川村に入ります。狭隘隧道の入り口では徐行のうえ警笛などを使い安全確認しながらすすめ、御母衣ダムの大きな堰堤の脇を下ります。温泉のある平瀬も乗降なし、バスは合掌集落で有名な荻町の集落へと入ります。本来の路線である荻町集落内は道路工事のため、神社前と合掌集落の２つのバス停は通過、迂回路のバイパスのトンネル内で上りの白鳥行きとすれ違いました。バイパスを抜けた荻町バス停で３人の乗客が降り、ついに乗客は私１人になりました。まもなくバスは
白川村役場横の終点鳩ヶ谷に着きました。
バスを降りて写真を撮っていると、運転手さんが休憩のために降りてきたので、こちらから声を掛けさせてもらいました。廃止前というのに、乗客はいつもこんなもので、白鳥で地元の人が何人か乗るくらいであること、今日の車両交換は、本来の予定車両（セレガの中型車と思われる）が都合がつかず、高速用大型車を出したが、白鳥以北は大型が入れないので、車両交換になったことなどを聞かせていただきました。運転手さんはこの後、白鳥まで帰り、さらに牧戸で泊となるとのこと、ご苦労様です。
廃止時期も近くなると人が集まっているだろうと思っていましたが、全くと言っていいほど普段と変わらない感じでした。これでは廃止されても仕方がない、という感じですね。以前聞いた話ですが、周辺自治体はこの路線の維持のために高額の補助金を出していたとのことですが、少なくともこの時間のこの便は、荘川・白川両村内にはあまり存在価値のないものだったようです（もちろん、両村相互の人の流れというものもないだろうし、以前はあったかもしれない高山市方面からの乗り継ぎ客も、「ノースライナー」が走っているので、今はいないでしょう）。
白川村へは仕事の関係上、何回も行ったことがあり、名金線バスも見たことがあります。そこから路線が消えるのは感慨深いものがあります。しかし、この日の状況を見る限り、廃止も致し方ないというのが正直な考えです。
白川からは、濃飛の「ノースライナー」13:40発を使い高山へ出ました。時間帯もよかったのですが、こちらはほぼ満席。高山で「メイヒライナー」や高山線特急「ひだ」に乗り換えて名古屋方面に行く人も多く見かけました（中には、「シュトライナー」で新宿へ行くお客さんも！）。実は、この便の後に名金線の上り「白川郷号」が来るのですが、これの名古屋到着は、前記の高山乗り換えの方法と大して変わらない（かえって早い）のです。名金線の名古屋到着は18時頃（実際には、渋滞などもあり19時ちょっと前になることが多いそうです）で、ＪＲの有効な広報宣伝があれば、乗客を増やすこともできたかもしれません。
高速開通までは、今後名古屋直通の定期便が走ることはないでしょう。今後、東海北陸道が全線開通すれば、北陸道特急バスに代わり、高速経由の「名金線」が復活するでしょう。しかし、もう一般道を通ることはなく、歴史ある、そして「さくら道」の原点である「名金線」がなくなってしまうのはあまりにも惜しいものです。
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最終更新日：07/04/22